
鼎隷書と3人のクリエイター vol.2【吉川和弥さん編】
フォントワークスの書体デザイナー山村佳苗が手掛ける、新書体「鼎隷書(かなえれいしょ)」がリリースされました。
現代的な空気をまとった隷書体。歴史的な筆法に添いながらも、軽やかな平ペン風のエレメントで、リズミカルな形が楽しい書体です。フォントワークス初となるオリジナルの隷書体となります。
鼎隷書のコンセプトや見どころについてはこちらの記事をご覧ください!
3人のクリエイターが魅せる鼎隷書
みなさんの中には、隷書体はあまりなじみがなく、なんだか怖そう、どうやって使えばいいのだろう? と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、鼎隷書はそんな従来の枠に収まらない、新しい隷書体です。
今回はリリースを記念して、パンチさん、吉川和弥さん、清水艦期さん3人の名だたるクリエイターにご協力いただき、鼎隷書を使って、イメージビジュアルとモックアップのグラフィック作品をご制作いただきました。
これを見たら、こんなに自由に使っていいんだ! と隷書体のイメージがきっと変わります。
noteでは3回に渡り、作品をご紹介していきます。vol.2は、ポスター、ロゴ制作やミュージックビデオなど幅広いジャンルでアートディレクション、デザイン等で活躍されている吉川和弥さんです。
<プロフィール>
吉川和弥 Kikkawa Kazuya
1991年生まれ。大阪芸術大学デザイン学科卒業。任天堂株式会社を経て、合同会社自営制作を設立。グラフィックデザインを軸に印刷物・映像を制作している。京都勤務。
https://jieiseisaku.com/
モーショングラフィックスの中で見る鼎隷書
吉川さんには、モーショングラフィックスを2つご制作いただきました。
鮮やかな色彩の世界の中で、独特な雰囲気とともに凛と佇む鼎隷書をご覧ください。
ここからは制作者の吉川さんに今回の作品や鼎隷書に関するインタビューをお届けします。
吉川和弥さん スペシャルインタビュー
ー今回ご制作いただいた作品について教えてください。
どうしても雰囲気のつく書体なら、かえってなんでもない内容のほうが良いだろうと思い自分の日課をループする図にしました。
また、いずれの作品も「鼎」にちなんで3つのモチーフで構成しています。
ー鼎隷書を最初に見てどんな印象を受けましたか?
古風な印象を受けました。
といっても厳かで格式の高い重厚な古風さではなく、言うなれば新築の古民家のような印象でした。
一般的な隷書体をイメージしたときに浮かぶ「墨だまり、輪郭線のびびり/ゆらぎ」がないことでそう感じたのかもしれません。
それだけでは無菌的な書体になりそうなものですが、動きを感じるハライや、あざとすぎない角丸処理などの手仕事から独特の個性が立ち上がって見えます。
ー鼎隷書を今後活用してみたいシーンがあれば教えてください
アルファベットを詰めて組むと和文とはまた違う魅力があったので、映像作品なんかのタイトルバックに使ってみたいです。
鼎隷書のデザイナー山村さんにも吉川さんの作品を見た感想を聞いてみました。
制作中はもちろん静止画でしか文字を見ていなかったので、動いているのがとても新鮮でワクワクします!
また、「昼」のハライと横画が絶妙に揺れ動いているところに心惹かれました。てんとう虫も意外な組合せで可愛いです。
「新築の古民家のような印象」は、制作時に思っていた「古臭くない、怖くない隷書に」というイメージを的確に言語化していただいていると感じました。
いかがでしたでしょうか。
インタビューでも語っていただいた通り、鼎(古代中国で使われた三本足の鉄のかま)にちなんで『3つのモチーフ』をキーワードに『朝・昼・夜』、『3匹のてんとう虫』を描いていただきました。
「昼」の動きや、「夜」の月の儚さを感じさせるあしらいにもご注目いただきたく、大きい画面でぜひ見てみてください。
最後のvol.3では、清水艦期さんに鼎隷書を使ったグラフィックを作っていただきました。こちらもぜひご覧ください。
vol.3 【清水艦期さん編】
鼎隷書と3人のクリエイターの記事はこちら
vol.1【パンチさん編】
Vol.2【吉川和弥さん編】
vol.3 【清水艦期さん編】
新書体 鼎隷書(かなえれいしょ)が使えるサービス
新書体 鼎隷書Std Bは、フォントサブスクリプションサービス、フォントワークスLETSでお使いいただけます。