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【番外編】半歩先が時代をつくる。RINGOデザイナーの素顔に迫ります
昨年12月、カスタムフォント「RINGO TYPE BOLD」が登場しました。
株式会社BAKE(以下BAKE)が運営する、焼きたてカスタードアップルパイ専門店 RINGOのロゴに基づき制作された、ブランド専用の欧文書体です。
フォントワークス書体デザイナー中村勇弥が企画・制作しました。
RINGO TYPE BOLD紹介編、インタビュー編の記事はもうお楽しみいただけたでしょうか?
今回は番外編と称し、インタビュー編に収まりきらなかった内容を掲載。
BAKEの河西宏尚さん、小林香奈さん、林果穂さんがデザイナーを志したきっかけや、影響を受けている人・ものなど、お人柄に迫ります!
BAKEデザイナーインタビュー
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〈BAKEデザイナー プロフィール〉
河西宏尚さん
株式会社BAKE Creative Directer
一般大学を卒業後、アルバイトで出版社に勤務。その後2社のデザイン事務所を経ていまに至る。かつてRINGOのデザインも担当。BAKE歴は8年ほど。
小林香奈さん
株式会社BAKE RINGOクリエイティブチーム マネージャー
東京工芸大学芸術学部卒業。新卒で制作会社に7年勤務ののち、インハウスデザイナーを経験。その後BAKEへ入社。BAKE歴は1年ながら、RINGOのブランド全体をディレクションする。
林果穂さん
株式会社BAKE RINGOクリエイティブチーム チーフ
武蔵野美術大学卒業。新卒でデザイン事務所に6年勤務ののち、BAKE入社。RINGOブランドのプロモーションデザインを担当する。
聞き手/中村勇弥
写真/カワベ ミサキ
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■ デザインをしたい、学びたいと思ったきっかけは?
◎ 河西さん
きっかけはチャラくて、雑誌やCDジャケットをつくる仕事=グラフィックデザイナーだと思っていました。自分でもできるかなと謎の自信でこの世界に入り、全然違いました(笑)。
◎ 小林さん
ありがちですが、ものをつくったり絵を描いたりするのが子どものころから大好きで、「人のために」その特技を使うと喜んでもらえるのがクセになってしまい…。これってどういうジャンルなんだろう? どんな仕事なんだろう? と考えたときに「デザインなんだ!」と。それでもっと極めてやっていきたいなと思いました。
◎ 林さん
森本千絵さんのCMに心を打たれ(SONY「make.believe」やniko and...「不完全なひと 不完全なわたし」)、広告のデザインをやりたいと思いました。
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■ 影響を受けているデザイナーや人、作品は何ですか?
◎ 河西さん
初代BAKEクリエイティブ部部長の貞清誠治さんにブランドづくりやデザインを叩きこまれました。表現でいうと平林奈緒美さんや川上シュンさん、Kamikeneさんなど、タイポグラフィ主体のデザインが好きでよくトレースしていました。
平林さんは文字詰めをかなりシビアにされている印象で、文字詰めは苦手なので憧れがあるかもしれないです。
◎ 小林さん
デザインとは離れるんですが、ここ数年A24という映画配給会社の作品をよくチェックしています。トレンドを押さえつつ、斬新すぎて人によってはびっくりしすぎてしまうような表現も果敢に発信していて、いい刺激になります。
ハートフルな映画もあって、怖いのが苦手な方にもおすすめできるし、パンフレットのデザインを味わうだけでもたくさん発見があります!
◎ 林さん
デザイナーだと森本千絵さん、徳田裕司さん、ファッションデザイナーの黒河内真衣子さんです。絵画も好きで、モネや日本画の東山魁夷がとくに好きです。
あとは、音楽もデザインと同じように生活をしながらつねにつくりつづけているのかなあ、と思うことがあって、元チャットモンチーの橋本絵莉子さんのソロアルバムを最近よく聴いています。
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平林奈緒美さんAD(アートディレクション)雑誌『GINZA』2014年1月号/雑誌『SCREEN』A24特集号/森本千絵さん著書/KamikeneさんAD雑誌『+81』Comme des Garçons特集号
真ん中は林さんオススメ橋本絵莉子さんソロ2ndアルバム『街よ街よ』
■ 好きな書体はありますか?
◎ 河西さん
Optimaが好きですね。中性的で、クラシックな印象です。
◎ 小林さん
FuturaのウェイトThinです。形がずっしりしているのに、細くて繊細なバランスが好きですね。
◎ 林さん
わたしもFuturaで、ウェイトはBookくらいです。
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■ 琴線に触れたものの影響を受けすぎていると自分で感じることがあります。そこから抜け出すにはどうすればいいでしょうか。
◎ 河西さん
川上シュンさんのデザインが好きすぎて、真似っぽいものしかつくれなくなった時期もあって苦労しました。いろんな案件を経験するうちになくなりました。制作の「背景」を変えたりするといいかもしれません。
◎ 小林さん
自分の場合、「琴線」のハードルが低くて、たくさん感動していまの仕事に就いているのかなと思います。感動は素直に受け入れて吸収しつづけたいですね。逆に、これはイヤだなと感じるものにも向き合ってみると、意外といままでになかった発見に出会えて、新鮮なインプットに繋がることもあります。
◎ 林さん
入り口は何でもいいのだと最近思います。入り口にこだわる必要はなくて、今興味があったり、昔興味はなかったことにも深く入ってみて、もし楽しかったら、そっちに行ってもいいのではないかと思います。それが数年後につながったりもするので!
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■ 最後に、「時代」について。「いまっぽい」とか「新しい」とかってよく言われますが、いったい何なんでしょうか…?
◎ 河西さん
何なんでしょうね…。昔、建築家の方と飲んだ際「1歩先2歩先じゃなく、半歩先をつくるのがいちばん難しく、それが時代をつくる」という趣旨の言葉をもらい、印象的でした。そのときは、当時のバレンシアガのコレクションがすごい! と。コートのボタンの位置を変えるだけで驚くようなシルエットを生み出していました。
◎ 小林さん
たとえば「ジェンダーレス」「ダイバーシティ」なんかのワードも「いまっぽさ」としてすごい早さで浸透した時期がありましたが、もはや常識の一部となってきていますよね。世間が体感する「いまっぽい」は結構定着した段階のものなのかなと思ったりします。本当の「いま」「新しい」っていうのは〈これから来る!〉なものだと思うので、チャレンジングですし拒絶も起こりうるものだと思いますが、そういうもの、いつか創ってみたいな…とひそかに思っています(笑)。
◎ 林さん
いま前提とされていることを踏まえ、どう考えたのかの提示になっているかどうか。きちんと踏まえていることが大切なのかな、といま思いました…。
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ほんとうはもっともっとお話が盛り上がったのですが(JUDY AND MARYからYUKI、チャットモンチーへの流れや、はたまたボトル裏などの成分表談義まで!)、ここまでです。
今後も、すてきなデザイナーさん方が熱量高く育てていかれるRINGOやBAKEブランドを楽しみにしています!
[RINGO TYPE BOLD紹介編、インタビュー編はこちら]
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