LETS 20周年で書体見本セットをプレゼント!/ フォントワークスの歴史を支える「あの書体」について紹介します
フォントワークスの「LETS」が生まれて、今年で20周年。LETSは、年間定額制でバリエーション豊かな書体が気兼ねなく使えるデスクトップフォント配信サービス。広告やエディトリアル、放送やアニメ、ゲームまで、あらゆる業界でたくさんのデザイナーの皆さんに愛用いただいています。
このたび、フォントワークスではLETS 20周年特設サイトを制作しました。
そして今回のnoteでは「温故知新」をテーマにして、フォントワークスの原点である「あの書体」について、改めてご紹介したいと思います。
記事の最後で書体見本セットのプレゼント企画もご案内しますので、ぜひ最後までお目通しくださいね!
フォントワークスの歴史は「ロダン」から始まった
やはりLETS人気を牽引してきたのは「筑紫明朝」をはじめとした筑紫書体シリーズでしょう。しかし今回はさらに遡って、LETS登場よりもっと前、最初のフォントワークス書体としてリリースされたゴシック体「ロダン」にスポットを当てたいと思います。
時代はDTP黎明期。1990〜1991年にかけてリリースされたロダン(※)は、DTPに使える日本語書体がまだまだ少なかった頃にデビューしたゴシック体です。創業時からフォントワークスに深く関わっていたデザイナーの佐藤俊泰さんによって、かなのデザインと全体の監修が行われ、フォントワークス書体の第一弾となりました。それから現在に至るまで、文章を組んだときの素直な美しさから長く人気を得ています。
今ではPCでデザインすることが当たり前になりましたが、その前はデザイナーが描いた指定紙をもとに写植(写真植字)で文字を印字してもらって、それを切り貼りして版下が作られていました。1990年代から徐々にDTPが普及していきますが、当時の大きな問題は、使える日本語書体が少なかったこと。写植で指定できるバリエーション豊かな書体に比べて、デザイナーが求める品質を備えたデジタルフォントはわずかでした。
さらにLETSのようなサブスクリプションサービスができるまでは、フォントを一つ一つ買ってインストールしなければなりません。「漢字・かな・アルファベット・数字・記号類」が必要な日本語では、一つの書体をまとめ上げるのにかなりの時間と労力がかかるため、値段も安価にはできない。となると、まず求められるのは美しくベーシックな書体です。
フォントワークスにとって、その要望に応える最初の書体がロダンでした。続けて1992年には明朝体の「マティス」、1993年には丸ゴシック体「スーラ」と、少しアクセントのあるゴシック体「セザンヌ」もリリースされていくことになります。
いろいろなスタイルの「かな」とコンビネーション
ベーシックな書体は大事だけれど、当然それだけではつまらないし、目的やテーマに合わせて必要とされる書体は変わってきますよね。しかし、先ほども述べたようにフルセット揃った日本語書体の開発には時間がかかります。そこで次に着手されたのが、さまざまな「かな書体」の開発です。
日本語の文章は、“かな”を入れ替えるだけで大きく印象を変えることができます。例えば、ゴシック系に毛筆のような躍動感を加えた「ひまわり」や、明るい楽しさを感じさせる「マリア」。さまざまなかな書体を展開していくにあたって、かな以外はロダンと組み合わせることを前提に、さまざまなゴシック系のかな書体が開発されていきました。
さらに、TYPE-LABOの佐藤豊さんがデザインされた、写植時代から人気のかな書体もラインナップに加わります。
これらの書体は当初かな書体だけで発売されたため、他の書体と組み合わせて使う必要がありました。少し不便ではありますが、“かな”だけならば書体の価格を抑えて提供できるというメリットがあります。
そして定額で書体が自由に選べるLETSの登場に合わせて、より使い勝手をよくするため、あらかじめ「ロダン+かな書体」を組み合わせた「ロダンひまわり」や「ロダンマリア」、「ロダンハッピー」として提供されることになりました。
ロダンそのものは決して個性が強い書体ではありませんが、個性豊かな“かな”と組み合わせたときに、ロダンの魅力であるニュートラルな穏やかさが際立ってきます。さまざまな料理に使える“万能だし”のような書体だと言えるかもしれませんね。
さまざまなゴシック系デザイン書体のベースに
さらにロダンをベースとして、ユニークなデザイン書体が開発されていきました。皆さんもご存じの書体があると思います。
上の6書体は、全て1995年にリリースされた書体です。通常の日本語書体は1書体の開発に何年もかけて完成させることになりますが、当時はなにしろデジタルフォントのバリエーションが切実に求められていた時期。ロダンの骨格をもとに、ぐぐっと大胆に太らせたり、末端を絞ってリズムを感じさせるような形にしたり、カスタムすることでユニークな書体を次々に出していきました。ロダンのしっかりした基礎があったからこそ成立した、と言えると思います。
このラインナップ、名前を見ていくと「ラ・レ・ロ」……「R」で始まるものばかりです。これはベースとなった「ロダン(Rodin)」のRを受け継いで名づけられているため。同じように明朝体の「マティス(Matisse)」や、丸ゴシック体の「スーラ(Seurat)」をベースにしたデザイン書体もあるのですが……さて、どのフォントか探してみてください。
字面が大きく、画面でも見やすいモダン調の「ニューロダン」
LETSがスタートしたのが2002年、その年には「ニューロダン」が登場しました。ニューロダンは、ロダンの文字面を大きく設計し直し、“かな”や英数字を大幅に変更。空間をきちっと埋める、落ち着いたモダン調のゴシック体です。
2006年に発売された「PlayStation 3」のシステムフォントにニューロダンのカスタムフォントが採用されたこともあり、知らず知らずのうちに目にされている方も多いかもしれません。
実はニューロダンに先んじて、テロップでの使用を想定した放送業界向けのロダンも開発・提供されていた時期があります。その後、晴れてメジャーリリースとなったニューロダンでも画面での視認性を評価いただくことが多く、テレビのテロップやゲームなどで大活躍しています。
このようにフォントワークスを創業期から支える代表作「ロダン」は、デザイン環境やメディアの変化とともに、たくさんの書体にその遺伝子を受け継いできました。LETSの20周年とともに、ぜひロダンの歴史にも思いを馳せていただければ幸いです。
書体見本セットプレゼントキャンペーンのご案内
LETS20周年を記念して、書体見本セットを抽選で20名様にプレゼントいたします。 LETSにて提供しているフォントメーカーの書体見本を集めた貴重なセットとなっておりますので、是非この機会をお見逃しなく!