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3Dアクションゲーム『Goonect』に見る、フォントのワザの魅せどころ!

魅力的なデザイン事例から、フォントの使い方のコツを学ぶ連載「フォントのワザの魅せどころ!」。今回は、バンダイナムコスタジオの新ゲームレーベル「GYAAR Studio」からリリースされた3Dアクションゲーム『Goonect(グーネクト)』を紹介します。

ゲーム内で主に使用されているフォントは「ユールカ」。子どもも大人も一緒に楽しめる、Goonectの世界観にマッチした書体です。ゲームの開発背景やUIデザイン、フォント選びのポイントについて、GYAAR Studioにお話をうかがいました。

3Dアクションゲーム『Goonect』ゲーム内テキスト

使用フォント:ユールカ
開発:バンダイナムコスタジオ
パブリッシング:Phoenixx
対応プラットフォーム:Windows 10[
Steamストアページ

手をつないで協力プレイ、運命共同体となってゴールを目指す

Goonectのプレイ画面。「はじめのへや」のステージ説明や、チュートリアルにもユールカが使われている

Goonectは、2人のプレイヤーが手をつないで進む協力アクションゲーム。びよ〜んと伸びる腕で仕掛けをクリアしたり、ステージから落っこちた仲間を引っ張り上げたり。手を離さないように気をつけながらギミック満載のおもちゃ部屋から脱出します。
クリアのコツは、いかに意気投合して進められるか。ゴール後はクリアタイムやミス回数などから、2人の「なかよし度」が分かっちゃう……?

友達同士で、家族で、子どもから大人まで一緒に盛り上がれるこのゲーム、実はバンダイナムコスタジオの新人研修から生まれたものです。

「Goonectは新人研修の一環として、新人メンバーでチームを組み、約3カ月でゲーム開発する取り組みの中で作られたゲームです。コンセプトは、『つないだ手が離れたら死、運命共同体協力型ゲーム』。相棒と距離がひらくと手が離れて死んでしまうので、相棒と息を合わせて離れないように進むことが重要かつ、そこが面白いゲームになっています!」

手が離れたら死……!と聞くとハードなコンセプトのようですが、ゲームはとてもキュートでカジュアルに仕上がっています。
まるっこい怪獣のようなプレイヤーキャラクター、文房具で組み立てられたステージなど、かわいく楽しいデザインも魅力。デザインのテーマは「子どもでも戸惑わない遊びやすさ」と「完成までの期限」の二つの軸を重視して、子ども部屋をイメージしたものに決まったといいます。

「まずは友達と笑って遊べるようにするために、親しみのある物で世界観を作り、子どもでも理解しやすいゲームになることを目指しました。二つ目の“期限”については、やはり短い期間での制作だったので、コスト面の工夫が必要でした。Goonectではコストを削減するために、モデルの組み合わせでステージのパターンを作っています。それを前提にデザインのテーマを考えて、おもちゃや文房具などがたくさん登場する子ども部屋に決まりました」

優しく親しみやすい「ユールカ」が、世界観にぴったり

ゴールした後の成績発表。数字なども全てユールカで統一し、大きさや色で見やすく整理されている

ゲーム全体で使われている書体は「ユールカ」。ユールカは肩の力が抜けた、ゆるくてユニークなデザインの極太書体。手書き風の不安定さも、優しく素朴な印象を与えます。

ユールカが採用された理由を聞いてみると「優しくて親しみやすく、さらに読みやすい点が選んだポイントです。ユールカは文字が丸みを帯びており、そこがおもちゃのかわいらしい世界観にすごくマッチしていて、ゲーム全体の親しみやすさがとても上がりました」と嬉しいお言葉が。力を合わせてプレイして、うまくいかなくても笑ってほのぼのしちゃう。そんなカジュアルな雰囲気を伝えるのにも一役買っているかもしれません。

今作に限らず、ゲーム開発においてフォント選びで重視されるポイントはどのようなことなのでしょうか?

「一番はその作品の世界観にあったフォント、その次は視認性の良さで選んでいます。使用される端末によってゲーム画面の状況が違うので、小さな文字でも認識できるフォントを選んだり、ゲームのターゲット層にとって読みやすいシルエットかどうかなど、プレイヤーのストレスが極力少なくなるよう心がけています」

フォントの豆知識[右に左に、傾いちゃうのがユールカです]
極太マーカーで書いたような手書き感が特徴のユールカ。丸みのある形や太さのばらつきに加え、組んだときに軽やかなリズムを与えているのが「傾き」です。例えばユールカで「なかよし」と打ち出してみると、「な・よ」は左に、「か・し」は右に傾いているような感じがします。このコロコロと傾く文字が並ぶと、隣り合う文字が顔を突き合わせたり、背を向けたり、なんだかコミュニケーションしているように見えてきませんか?

うまく協力できた? プレイヤーの「なかよし度」を楽しく演出

2人はズッ友?それとも赤の他人? 「なかよし度」には白フチやシャドウをつけて目に入りやすく

特にユールカが活躍しているなと感じるのは、ゴール後に判定されるプレイヤー2人のなかよし度。どれくらいスムーズに協力できたかによって、ペアの「なかよし度レベル」が決まります。
デザイン担当の方に見せ方の工夫についてうかがうと、「ゴールした後、お互いのなかよし度を“賞状”のような形で受け取ったと感じてもらうために、月桂冠の意匠に文字を当てはめました。『ズッ友ペア』など称号部分のみ文字に色をつけ、言葉がパッと目に入るようにしています」とのこと。

「なかよし度はレベルごとに文字数が違うのですが、どのレベルでも同じような“塊”として収まるように文字サイズや字間・行間の調整をしています。また、ゲーム内で3カ所にわたって表示されるため、小さく表示される場面でもちゃんと文字が認識できるような調整を合わせて行っています」

「ズッ友ペア」や「ちぐはぐコンビ」など、言葉選びの面白さも楽しく遊べる大事なポイント。「見て笑える・盛り上がる言葉を意識して選びました。一緒にプレイする友達と笑って盛り上がって、仲を深めてもらえたら」という開発した皆さんの気持ちが込められています。

Goonectのようなアクションゲームでは、言葉を意識せずにプレイできることも大事。だからこそ、ゲームの世界観を伝える部分でフォントを活用してもらえているのはとてもありがたいことです。Steamのアカウントをお持ちであれば無料でプレイできますので、ぜひお友達を誘って遊んでみてくださいね。

〈スタジオプロフィール〉
GYAAR Studio(ギャースタジオ)
あーあ、面白いゲームが作りたいなー。
とりあえず面白くて、新しい遊びがあるゲームをサッサと作る。アイディアをどんどん形にして、遊んでくれるみんなと一緒にゲームを作る。そんなことを考えて生まれたのが㈱バンダイナムコスタジオの新ゲームレーベル、「GYAAR Studio」です。

©︎Bandai Namco Studios Inc. Published by Phoenixx Inc.

ユールカが使えるサービス

フォントワークス LETS
年間定額制のデスクトップフォントの配信サービス。筑紫書体、UDフォントなど高品位でバラエティ豊かなフォントを提供しています。

FONTPLUS
バラエティ豊かなプロ向けのフォントが使えるWebフォント・サービス。豊富な欧文・和文フォントをWebフォントとして利用することができます。

mojimo-manga
「ちょうどいい文字を、ちょうどいい価格で」提供するフォントの定額制セレクトパック「mojimo」シリーズから、タイトルロゴに最適な個性的な書体や、マンガの吹き出しでおなじみの書体まで、バリエーション豊かな36書体が利用できるプラン。デザイナー・イラストレーターの方をはじめ、趣味の創作や同人誌を制作されている方に最適な書体をセレクトしています。

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