3Dアクションゲーム『Goonect』に見る、フォントのワザの魅せどころ!
魅力的なデザイン事例から、フォントの使い方のコツを学ぶ連載「フォントのワザの魅せどころ!」。今回は、バンダイナムコスタジオの新ゲームレーベル「GYAAR Studio」からリリースされた3Dアクションゲーム『Goonect(グーネクト)』を紹介します。
ゲーム内で主に使用されているフォントは「ユールカ」。子どもも大人も一緒に楽しめる、Goonectの世界観にマッチした書体です。ゲームの開発背景やUIデザイン、フォント選びのポイントについて、GYAAR Studioにお話をうかがいました。
手をつないで協力プレイ、運命共同体となってゴールを目指す
Goonectは、2人のプレイヤーが手をつないで進む協力アクションゲーム。びよ〜んと伸びる腕で仕掛けをクリアしたり、ステージから落っこちた仲間を引っ張り上げたり。手を離さないように気をつけながらギミック満載のおもちゃ部屋から脱出します。
クリアのコツは、いかに意気投合して進められるか。ゴール後はクリアタイムやミス回数などから、2人の「なかよし度」が分かっちゃう……?
友達同士で、家族で、子どもから大人まで一緒に盛り上がれるこのゲーム、実はバンダイナムコスタジオの新人研修から生まれたものです。
「Goonectは新人研修の一環として、新人メンバーでチームを組み、約3カ月でゲーム開発する取り組みの中で作られたゲームです。コンセプトは、『つないだ手が離れたら死、運命共同体協力型ゲーム』。相棒と距離がひらくと手が離れて死んでしまうので、相棒と息を合わせて離れないように進むことが重要かつ、そこが面白いゲームになっています!」
手が離れたら死……!と聞くとハードなコンセプトのようですが、ゲームはとてもキュートでカジュアルに仕上がっています。
まるっこい怪獣のようなプレイヤーキャラクター、文房具で組み立てられたステージなど、かわいく楽しいデザインも魅力。デザインのテーマは「子どもでも戸惑わない遊びやすさ」と「完成までの期限」の二つの軸を重視して、子ども部屋をイメージしたものに決まったといいます。
「まずは友達と笑って遊べるようにするために、親しみのある物で世界観を作り、子どもでも理解しやすいゲームになることを目指しました。二つ目の“期限”については、やはり短い期間での制作だったので、コスト面の工夫が必要でした。Goonectではコストを削減するために、モデルの組み合わせでステージのパターンを作っています。それを前提にデザインのテーマを考えて、おもちゃや文房具などがたくさん登場する子ども部屋に決まりました」
優しく親しみやすい「ユールカ」が、世界観にぴったり
ゲーム全体で使われている書体は「ユールカ」。ユールカは肩の力が抜けた、ゆるくてユニークなデザインの極太書体。手書き風の不安定さも、優しく素朴な印象を与えます。
ユールカが採用された理由を聞いてみると「優しくて親しみやすく、さらに読みやすい点が選んだポイントです。ユールカは文字が丸みを帯びており、そこがおもちゃのかわいらしい世界観にすごくマッチしていて、ゲーム全体の親しみやすさがとても上がりました」と嬉しいお言葉が。力を合わせてプレイして、うまくいかなくても笑ってほのぼのしちゃう。そんなカジュアルな雰囲気を伝えるのにも一役買っているかもしれません。
今作に限らず、ゲーム開発においてフォント選びで重視されるポイントはどのようなことなのでしょうか?
「一番はその作品の世界観にあったフォント、その次は視認性の良さで選んでいます。使用される端末によってゲーム画面の状況が違うので、小さな文字でも認識できるフォントを選んだり、ゲームのターゲット層にとって読みやすいシルエットかどうかなど、プレイヤーのストレスが極力少なくなるよう心がけています」
うまく協力できた? プレイヤーの「なかよし度」を楽しく演出
特にユールカが活躍しているなと感じるのは、ゴール後に判定されるプレイヤー2人のなかよし度。どれくらいスムーズに協力できたかによって、ペアの「なかよし度レベル」が決まります。
デザイン担当の方に見せ方の工夫についてうかがうと、「ゴールした後、お互いのなかよし度を“賞状”のような形で受け取ったと感じてもらうために、月桂冠の意匠に文字を当てはめました。『ズッ友ペア』など称号部分のみ文字に色をつけ、言葉がパッと目に入るようにしています」とのこと。
「なかよし度はレベルごとに文字数が違うのですが、どのレベルでも同じような“塊”として収まるように文字サイズや字間・行間の調整をしています。また、ゲーム内で3カ所にわたって表示されるため、小さく表示される場面でもちゃんと文字が認識できるような調整を合わせて行っています」
「ズッ友ペア」や「ちぐはぐコンビ」など、言葉選びの面白さも楽しく遊べる大事なポイント。「見て笑える・盛り上がる言葉を意識して選びました。一緒にプレイする友達と笑って盛り上がって、仲を深めてもらえたら」という開発した皆さんの気持ちが込められています。
Goonectのようなアクションゲームでは、言葉を意識せずにプレイできることも大事。だからこそ、ゲームの世界観を伝える部分でフォントを活用してもらえているのはとてもありがたいことです。Steamのアカウントをお持ちであれば無料でプレイできますので、ぜひお友達を誘って遊んでみてくださいね。
ユールカが使えるサービス
フォントワークス LETS
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FONTPLUS
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