猫の絵文字もたくさん収録! 渾身の手書き8,000字超「しょこたんフォント」制作インタビュー
このたび、フォントワークスから「中川翔子のしょこたんフォント」が発売されました。なんと収録される約8,000文字を、中川さん本人に一文字ずつ手書きしていただくという手間暇かけたプロジェクト。ファンの皆さんにはもちろん、「こんなナチュラルな手書き書体がほしかった!」という人にもたくさん使っていただきたい、完成度の高いフォントに仕上がっています。発売を記念して、特設サイトでフォントの魅力をたっぷり紹介していますので、そちらもぜひチェックしてください。
そしてnoteでは、地道なフォント制作に取り組んでくださった中川さんのインタビューをお届け。制作の裏側や、フォントに込めた思いなど、たくさん聞かせていただきました。
― 中川さん自身は、普段から文字やフォントについて気にかけたりすることって、ありますか?
中川:フォント、好きなんですよ。散歩していて昭和レトロなマンションを見つけると、建物は建て替わっちゃったけど、壁の文字だけ昔のフォントで残ってるとか、そういうのにすごく萌えを感じます。
― そうなんですね! じゃあ看板とか、街の中にあるような文字も日頃から注目していたり。
中川:注目してます。そのフォントが使われていた時代の名残りとか、アナログ感が残ってるような文字がすごく好きですね。
文字を書き続けた2年間
手書きフォント制作エピソード
― はじめに「中川さんの書く文字をフォント化したい」と話が来たとき、どう思われましたか?
中川:びっくりしました。まず思ったのは「めちゃくちゃ嬉しい、生きた証が残るじゃん!」と。
私の活動の原動力は、猫たちを助けたいってことと、生きた証を残したいということ。私の文字がフォントになって、例えば自分が存在しなくなった後も、数百年後の人類が「あ、この人こういう文字を書く人だったんだ」って分かるくらい残るかもしれないと思うと、とてもありがたいと思いました。その次の瞬間に想像したのは「絶対に大変そう」。
― そうですよね(笑)。ではそのフォント制作についてもうかがっていきたいです。今回、8,000文字もの手書きにチャレンジしてもらいました。実際、大変な作業だったと思うのですが……。
中川:やってみたら「あ、嫌いじゃない」って思いました。楽しかったです。
― 本当ですか!?
中川:なんだろう、写経をやってるような感覚で。プリントしてある見本を置いて、それを見ながら書いていくんですけど、これまで書いたことがない漢字がたくさんあったり。あとは、これまでたくさん書いてきたはずなのに「ここ1本足りなかった!」みたいに、完全に間違えて覚えていた字もありました。何回もそういう修正をしたり、ひらがなは書いてるうちにゲシュタルト崩壊しちゃって大変でしたけど、大好きな「猫」や、翔子の「翔」とか、自分に関わりの深い文字が出てくるとテンションが上がりましたね。
それに、手をずっと動かしてると脳がシャキシャキしてくる。同じ文字をずっと書いてたら飽きちゃうかもしれないけど、一つずつ違う文字だから結構神経を使うし、脳トレになったと思います。
― それを聞けてほっとしました。日々、どんなふうに制作されていましたか?
中川:メイクしてもらっている時間に毎回何枚までやる、とか決めてやっていましたね。iPadを持ち歩いて、仕事の合間にも時間ができたらずっと書いてました。
「こんなに画数が多い漢字あるの!?」みたいな、読み方すら分からないような漢字も山ほどあって、「この字はなんて読む?」ってマネージャーさんにクイズを出してみたり。もはや変換の仕方も分からないレアな漢字まで一文字ずつ網羅して書いたので、ゲットしてくださった方はぜひ、全部の文字を見てほしいです。端から端までしっかり見て、お気に入りを見つけてほしいですね。
― 確かに、日常的な用途では一生使う機会がなさそうな文字もたくさんあるので、全部じっくり見て、堪能してもらいたいです。漢字や仮名だけでなく、数字や記号類も中川さんの手書きですし、オリジナルの絵文字も収録させてもらっています。
中川:あの、肉球とか勝手に書いたやつも入るんですか?
― 収録されます! 特設サイトにもたくさん使わせていただいていますが、猫たちの表情とかしっぽとか、すごくかわいいのでぜひぜひ使っていただきたいです。
忙しいお仕事の合間に、かなり時間をかけて取り組んでいただきましたよね。
中川:はじめにお話をいただいたのが、2021年だったと思います。それからずっと書いてました。
― 2年も……! 書き終わったときの気持ちはいかがでしたか?
中川:ゲームを全ステージクリアしたような達成感でしたね。だいたいレベル上げして、クリアしないで途中でやめちゃったりすることが多い人生だから「今回はちゃんとやりきったぜ!」という気持ちです。
使うほど寿命が延びる?
元気や楽しさを感じて使ってもらえたら
― フォント制作や文字のデザインについて、何か少しイメージが掴めたりしたでしょうか。
中川:今回はシンプルに普段の感覚で書いた文字でしたけど、一文字ずつさらにデザインされた文字、例えばしましまの猫のしっぽで文字を作ったらどうなるかな、と考えたりしました。
あと最近、文字のデザインについて驚いたことがあって、大好きなTVアニメ「悪魔くん」(1989~1990放送)のロゴは、当時、演出助手で参加していた幾原邦彦さんが書いたものだってことを、ご本人がSNSに投稿されていたんです。まさか令和5年になって知ることになったのも驚きだし、「手書きだったんだ! じゃあイラストみたいに描くのかな?」と想像したりして、ワクワクしました。やっぱり、私にはそういう萌えが根っこにあるんだと思います。文字のデザインって面白いし、人を惹きつけるものがありますよね。
― 本当にそうですね。中川さんの手書き文字も、フォントとして多くの人に使ってもらえるようになりますが、どんなシーンで活用してもらいたいですか?
中川:少し丸っこいかなと思うので、YouTubeとかTikTokのショート動画に使ってもらえるとかわいいかもしれない。 絵文字もいっぱい使ってほしいです。そっか、私のYouTubeチャンネルでも使えるってことですよね?
― もちろんです。ぜひたくさん使ってください。
中川:他には、漫画を描くときとかに使ってもらえたら嬉しいですね。エッセイ漫画とか。前に私が本を書いたとき、手書きの文字に自信がなかったから「ここ写植(打ち文字)にしてください」って言ったら、編集の人に「手書きのままの方がいいです」と言われたことがあったんです。手書きの方が伝わりやすいし、柔らかい印象になるからと。
― 中川さんの文字、とても丁寧で、明るくおおらかで素敵な文字だと思います。これだけの文字数がそろっている手書きフォントはなかなかないですし、いろいろな場面で活躍できそうな気がします。
中川:もし「あーめんどくさい」って思いながら書いていたらそういう文字になっちゃうと思うんですけど、楽しんで書かせてもらえたので、それは文字にも表れているはず。使ってくれた人や、見てくれた人の寿命が延びる呪いをかけながら書いたので、きっと使えば元気が出て、幸せになれると思います。
― 寿命が延びる呪い(笑)。使えば使うほど、パワーが湧いてくる、そんな気持ちで使ってもらえたら嬉しいですね。では最後に、このフォントに興味を持ってくださった方々へのメッセージをいただきたいです。
中川:フォントって、メッセージのテンションとか空気感とか、あらゆる感情を伝えるものなので、私の文字がその選択肢の一つになるのは本当に光栄です。みんなにとってワクワク楽しい、幸せな気持ちで使ってもらえる文字になっていくといいなと思いながら取り組みました。
今は人類総クリエイター時代かもしれないなと思うので、このフォントを使って動画作ろうとか、文章を書いてみようとか、新しい趣味が増えるきっかけになったら嬉しいし、とにかく「猫の絵文字の多さでは負けないぞ!」っていう自負があります。ほんとにもうめちゃくちゃたくさん書きました! この「書いてて楽しいな」っていう気持ちが、みんなの「使って楽しいな」に伝染していってほしいです。
― ありがとうございます。私たちも「中川翔子フォント」を通してポジティブな気持ちや新しい表現が広がっていくのを、とても楽しみにしています!
【商品概要】
商品名:中川翔子のしょこたんフォント
提供開始日:2024年3月25日(月)
文字数:約8,000字
文字セット:Adobe Japan 1-3+絵文字
ウエイト数:3
■特装版 6,290円(税込)
フォントデータ、フォントデータ(絵文字)、オリジナルアクリルスタンド、フォント管理ツール
■通常版 2,990円(税込)
フォントデータ、フォントデータ(絵文字)、フォント管理ツール
※特装版はアクリルスタンドの在庫数に達し次第販売を終了いたします