「可読性の良さ」と「文字の美しさ」の追求―― 株式会社モトヤ
皆さんは、株式会社モトヤというフォントメーカーをご存じでしょうか?
大正11年(1922年)に兵庫県姫路市において活字の製造販売・印刷材料の販売で創業し、2022年に100周年を迎えたフォントメーカーです。永年にわたる書体開発の歴史の中で、モトヤが変えずに大切していることは「可読性の良さ」と「文字の美しさ」の追求です。
フォントワークスではモトヤLETSとFONTPLUSにてモトヤの各種フォントをお使いいただけます。
今回の記事では、2024年7月31日にデザイン書体・モトヤクレイルがモトヤLETS・FONTPLUSにが追加されることを記念して、改めてモトヤ書体についてご紹介いたします。
モトヤ書体の紹介
FONTPLUSで使えるモトヤ書体の中から、人気な書体をためし書きしてみました。
モトヤシーダやモトヤマルベリといった、デジタル環境に最適化した近代的な書体から、チラシやポスター、ロゴデザインなどに一味違う雰囲気を演出するモトヤステンシルアポロといったデザイン書体まで幅広いラインナップで取り揃えています。
モトヤシーダ
伝統的な「モトヤゴシック」に対し、現代的なゴシック体として「モトヤシーダ」が1998年にリリースされました。
モトヤシーダは、文字の懐(ふところ)を最大限に広げ、従来のゴシック体の特徴であった縦棒、横線のラッパ状のアクセントである背勢表現を無くし、直線的ですっきりとしたデザインの書体です。
モトヤマルベリ
「モトヤマルベリ」は「モトヤシーダ」の特徴を受け継いだ丸ゴシック体です。
モトヤマルベリの開発にあたっては、懐を更に広げたり、仮名に丸みを持たせたりし、より丸ゴシックらしく見せるための処理を施しています。その結果、マルベリは充分な丸みを持ちながらも、シーダの特徴であるスッキリとした印象を併せ持った書体に仕上がっています。
モトヤアポロ
「モトヤアポロ」は1969年米国宇宙船アポロが、月面着陸に成功した年に生まれた書体です。ドイツの有名自動車メーカーの宣伝広告を担うなど、モトヤ書体の花形として様々な分野で活躍しています。
最近では、明るく清廉なイメージが好印象に繋がるとしてプレゼン用の書体として人気があり、力強さの中に読み易さを兼ね備えた書体です。
モトヤ明朝
モトヤ書体の礎を築いたのは、朝日新聞社で活字彫刻を手掛けていた太佐源三氏です。
モトヤに招聘された太佐氏は、それまでの豊富な経験と技術を活かして1952年に初のモトヤ書体となる、「モトヤ明朝」を完成させました。
モトヤ明朝は、造形の基本を「書」に置いた漢字と、様々な形からなる仮名のデザインをできるだけ正方へ近づけることで縦組にも横組にも適した、美しく可読性の高い書体です。
モトヤLETS に『モトヤクレイル 2』が追加
年間定額制フォントサービス「モトヤ LETS」および「学生向けモトヤLETS」「FONTPLUS」にて、2024年7月31日よりモトヤクレイル 2が追加されました。
モトヤクレイルは、文章に「ツヤ」「光沢感」を付与できるデザイン書体です。その性質から、書体名にはフランス語で「明るい」「光」を意味する「Clair(クレイル)」と名付けられました。
制作時のこだわりのポイントとして、文字のバランスは全て足長気味にデザインし、あえて重心を高めに設定することで美への意識の高さを表現されたそうです。
キャッチや書籍タイトル、動画のテロップなどにも幅広く使えそうな書体です。ぜひ色々な場面でご活用ください。
*本記事は「「活字は印刷の元や(関西弁)!」 モトヤの社名ルーツです。」(FONTPLUSnote、2022年1月24日)を一部参考にしています。