LINEの日本語コーポレートフォント「LINE Seed JP」が誕生。ディテールを徹底解説!!
この記事を読まれている皆さんも、多くの方が「LINE」を活用されているのではないかと思います。
そのLINEのブランドアイデンティティを表現するコーポレートフォント「LINE Seed」。すでにリリースされている英語・韓国語・数字・記号に加え、このたび日本語コーポレートフォント(漢字・仮名)の「LINE Seed JP」をフォントワークスと韓国のフォントメーカー、Fontrixが共同で開発しました。
プロジェクトの背景については、LINE CREATIVE CENTER(以下クリエイティブセンター) BXデザイン室の皆さんに詳しくおうかがいしたインタビューを、フォントワークスWebサイト内「もじがたり」に掲載しています。ぜひ併せてご覧ください。
[もじがたり]グローバルに一貫したメッセージを伝えたい。BXの視点から開発されたコーポレートフォント「LINE Seed JP」
そしてnoteでは、LINE Seed JPのディテールに注目。オーソドックスなようで、実はエポックな特徴をいくつも持っているこの書体。こだわり抜かれたポイントを徹底解説します!
親しみのある“カドマル”ゴシック
LINE Seed 最大の特徴は、LINEのワードマークと共通した丸みのあるコーナー、つまり「カドマル」。これが全ての文字に共通したアイデンティティとなっています。
もちろん日本語書体の開発においても、この特徴が取り入れられています。角ゴシック体よりも少しカジュアルで柔らかい、親しみやすさが伝わる書体になりました。
LINE Seed JPには4段階のウエイト(太さ)が用意されていますが、極太のExtra Bold以外はコーナーの大きさが共通しているのもポイント。ジオメトリックな統一感を重視した設計になっています。
明るく大人っぽい表情のモダンスタイル
クリエイティブセンター BXデザイン室の皆さんのお話によると、コーポレートフォントのデザインは、LINEのブランドアイデンティティが表現できることや、ユーザーフレンドリーであることが何より重要。モダンでありながら親しみのある印象にこだわりを持たれています。
LINE Seed JPの骨格やフォルムについて、フォントワークスのデザインチームを中心になってまとめた書体デザイナーの森田隼矢に聞くと、“ふところ”を広く取った明るいモダン系のゴシック体で、仮名は曲線を多く取り入れて丸めに。しかし子どもっぽくならないように、穏やかで落ち着いた表情を目指したといいます。
ディレクションを担当した藤田重信も「誠実、温厚という人格を欧文から感じた」とのこと。「大人のひとが微笑んでいるような印象を持った文字」をイメージして監修にあたられたそうです。
日本語ならではの美しさと整合性のバランス
LINE Seed は「カドマル」の話でも触れた通り、統一されたジオメトリックなルールに基づいて開発されています。しかし、文字のバリエーションが多い日本語書体だと簡単にはいきません。
日本語で特に難しいのは、漢字と仮名など、密度が大きく異なる文字を同時に扱うこと。LINE Seed JPの開発にあたっては、読むときの心地よさや日本語書体ならではの不揃いな美しさと、形の整合性との間で、何度も検証しながら進めていきました。
細部のこだわりに注目すると、例えば細い文字と太い文字でディテールの処理を統一。濁点の傾きや大きさ、線の太さもできる限り均質に揃って見えるように工夫しています。
ひらがなやカタカナは、形をできるだけシンプルに。出っ張りを減らし、ミニマルな要素で表現しました。
また、欧文と和文のサイズや太さ・高さなどのバランスにも徹底して調整が加えられました。ここまで整合性にこだわるのは、一つの書体で、グローバルに一貫したメッセージを伝えたいというBXデザイン室の皆さんの思いが反映されているためです。
LINE Seed JPの制作は、フォントワークスで培ってきたゴシック体制作の技術を結集し、新たなアプローチに挑戦する機会となりました。結果、オーソドックスでありながらも、現代的な新鮮さをまとう書体になったのではないかと思います。
まだ生まれたばかりの書体ですが、これからLINEの事業活動やイベントなどさまざまなシーンで目にすることができるようになるとのこと。
さらには、一般にも公開してどなたでも使用していただけるようLINE Seed Webサイトではフォントファイルを無料で公開しています。ぜひこの機会にお試しください。
※ご使用の際にはライセンスポリシーを必ずお読みください。
書体好きな皆さんにはぜひ注目いただきたいですし、私たちフォントワークスのメンバーも、幅広く活躍してくれることを楽しみにしています。