シンプルで読みやすく、あらゆるシーンで選べる欧文書体「Yo One」誕生
2023年9月、フォントワークス LETSでご利用いただける新書体「フォントワークス Yo One」がリリースされました。Yo Oneはフォントワークス書体デザインディレクター、ヨアヒム・ミュラー・ランセイが手がけたオリジナル欧文書体。多様な用途に柔軟に対応します。
今回のnoteでは、このYo Oneについて詳しくご紹介します。
フォントワークスデザイナーが手掛けた、初のオリジナル欧文ファミリー Yo One
まずは導入として、デザインされたヨアヒムさんご自身に、Yo Oneが生まれた背景について、いくつか基本的な質問をしてみました。
— Yo Oneを作ろうと思ったきっかけを教えてください。
ヨアヒム フォントワークスのメンバーに加わったばかりの頃、汎用的で使いやすく、幅広いデザインに使用できる、一連の欧文書体を開発してほしいと言われました。私は大量にスケッチをして、さまざまな書体のアイデアを基本的なアルファベットに拡張しました。
それらを日本のグラフィックデザイナーの皆さんへ見せてヒアリングをしたところ、汎用性、鮮明さ、読みやすさという点で抜きん出た評価を得られた書体がYo Oneです。欧文書体の歴史に関するセミナーやサンプルのデザインなど、他の活動にも取り組みながら3年の時間を費やして完成させました。
— Yo Oneとはどのような書体でしょうか?
ヨアヒム Yo Oneは欧文書体が持つさまざまなバリエーションを複数の軸で体系化したフォントシステムであり、156フォントを有するスーパーファミリーです。
Yo Oneスーパーファミリーは、一つの字形から出発し、セリフの有無、コントランスの強弱など異なる特徴をもつ書体へ展開されていきます。統一されたルールで設計されたスーパーファミリーなので、セリフとサンセリフなど異なる特徴を持つフォントを組み合わせて使用しても調和を保つことができます。ブランディングなどで視覚的な統一性が必要なシーンにもおすすめの書体です。
— Yo Oneという書体名の由来は?
ヨアヒム 書体名の「Yo」は、カリフォルニアで暮らしていたときの私のニックネームです。「ヨアヒム」を皆が発音できなかったので、呼びやすいように「hey!」と同じくカジュアルな挨拶の意味がある「Yo」を使っていました。日本語でも「世」「洋」「~よ!」などの意味合いがありますよね。
「One」はフォントワークスデザイナーが手掛ける初の欧文書体であり、「Yo」シリーズの最初という意味です。また、1つのフォントシステムの中に、欧文タイポグラフィを構成する基本的な文字がすべて含まれていることも意味しています。
Yo Oneのコンセプト、Yo Oneの新しさ
続けて、Yo Oneの主な特徴を紹介していきます。
156フォントで構成されるスーパーファミリー
ヨアヒムさんの話にもあった通り、Yo Oneは複数の軸で体系化したフォントシステムで、156フォントを有する「スーパーファミリー」です。
大きく分けると6つのファミリーで構成されています。まず「セリフ・サンセリフ」の2スタイルに分かれ、それぞれに書体の特徴を表す「リニア・セミ・コントラスト」の3フレーバーがあります。
各ファミリーが13ウエイトで展開され、それぞれにローマン体とイタリック体の2アングルを用意しています。
6ファミリー(2スタイル × 3フレーバー)
× 26サブファミリー(13ウエイト × 2アングル)
= 156フォント
これらのバリエーションの中から、フレキシブルにフォントをご選択いただけます。
セリフとサンセリフ、リニアとコントラストの組み合わせ
Yo Oneは、「シンプルで読みやすいデザイン」を目指しており、グラフィックや看板などの見出し用途から、エディトリアルデザインなど本格的な本文組版まで、豊富なスタイルとウエイトで対応できます。
6つのファミリーは、セリフとサンセリフ、リニアとコントラストの組み合わせで構成されています。「リニア」は抑揚が少なく頑丈な印象を与えるスタイル。線幅に強弱がある「コントラスト」は華やかさやエレガントさを表現できます。
さらに、リニアとコントラストの中間に「セミ(=ハーフ)」が加わります。適度な抑揚があるセミは、ベネチアンやトランジショナルの書体に近く、可読性が高いスタイルです。
これらの組み合わせにより、Yo Oneは
「セリフ リニア」「セリフ セミ」「セリフ コントラスト」
「サンセリフ リニア」「サンセリフ セミ」「サンセリフ コントラスト」
の、6つのファミリーに分けられます。
美しさと実用性を高めた、ネオヒューマニスト書体
Yo Oneは、温もりを感じる親しみやすさと、信頼性と実用性を兼ね備えた汎用性の高い書体です。現代的でクリーンかつ鮮明、あらゆるニーズに対応する書体としてデザインされました。
全てのスタイルの基礎となっている骨格は「ネオヒューマニスト」です。
欧文書体の歴史の中で、1950年台に急増したネオグロテスク・サンセリフに対して、より読みやすさを向上させたヒューマニスト・サンセリフが台頭してきました。ヒューマニスト書体は、カリグラフィの運筆を取り入れ、自然に書かれたようなストロークを再現しています。
ネオヒューマニスト書体は、それがさらに発展したものです。文字ごとの形状の違いが大きく、識別しやすくなっています。特徴的なのは C e 3 などに見られるオープンカウンター形状で、開口部を広く取ることにより、判別性や視認性が向上しています。
6つのファミリーそれぞれのスタイルを紹介
たくさんのフォントが選べるYo One。柔軟性が高いぶん、どのように選べばいいか迷ってしまうかもしれません。
そこでヨアヒムさんが考える、6つのサブファミリーそれぞれの「スタイル」の特徴をまとめてもらいました。最後にそのテキストをご紹介したいと思います。
Yo One 書体見本帖 発売
ご覧いただいた通り、欧文書体 Yo Oneはここでは語り尽くせない魅力とボリュームを持つ書体です。そんな魅力を存分にお伝えできる欧文書体見本帳が完成しました。
ページ冒頭にはリソグラフ印刷のビジュアルページを収録。
また書体見本だけにとどまらず、Yo One の概要やそれぞれの書体の特徴について、約40ページにわたって細かく説明しております。本文はヨアヒムさん執筆の英文と日本語訳文の2パターンを掲載。
フォント好きの方はもちろん、欧文フォントをこれから扱ってみたい方にも是非読んでみて頂きたい一冊となっております。
【商品詳細商品内容】
Yo One 書体見本帖
B5/本文 42P+ビジュアルページ(リソグラフ印刷) 8P
価格 2,500円(税込) ※送料込み
販売:フォントワークスBASE